中小企業で自律型人材を育成するならOKRの導入を
自律型人材とは?中小企業が求める理由
中小企業の経営者と話していると、多くの経営者が、自分の判断で行動する社員が欲しい。
つまり、自律型人材が欲しいと口にします。
厳しい経営環境の中で、指示を待たずに行動できる人材は、組織全体の成長を支える大きな原動力になります。
自律型人材の特徴や求められる背景、中小企業にもたらすメリットについて解説します。
自律型人材の特徴
自律型人材とは、自己の判断で行動し、責任を持って業務に取り組める人を指します。
主な特徴としては以下のようなものがあります。
目標意識が高い
自ら目標を設定し、達成のために計画的に動きます。
主体性がある
上司の指示がなくても、課題を見つけ自ら行動できます。
目的を持って学び続ける姿勢
変化に柔軟に対応し、自発的にスキルアップを図ります。
このような人材は、成長を目指す中小企業にとって必要不可欠な戦力となります。
なぜ今、中小企業で自律型人材が求められているのか
近年の急速な市場変化や働き方の多様化により、企業は柔軟かつ迅速に変化する必要があります。
特に中小企業では人材や資源が限られているため、指示を待たずに自ら考え行動できる自律型人材の存在が不可欠です。
また、業務の複雑化・高度化により、自己管理能力の高い人材が組織の成長を左右する重要なカギとなっています。
自律型人材が中小企業に与えるメリット
中小企業にとって、自律型人材を採用・育成することには多くのメリットがあります。
具体的には
業務効率の向上
細かなマネジメントが不要になるため、組織全体の生産性が向上します。
イノベーションの創出
現場からの提案が増えるため、新しいアイデアが生まれやすくなります。
組織の柔軟性向上
変化に迅速に対応できる体制が構築できます。
以上のような効果から、結果として、企業全体の競争力強化や持続的成長に大きく貢献します。
問題人材と自律型人材は紙一重
人は思考・感情・行動の生き物と言われています。
思考や感情により判断し、行動に移します。
判断のもととなる思考は、「思考特性」に大きな影響を受けます。
同じ情報を受けても、思考特性により捉え方が異なります。
情報の捉え方が異なるため、人によって行動に違いが現れるのです。
部下からあがってきた仕事が、
「なんじゃ、こりゃ!!?」
となるときは、上司と部下の思考特性が異なるからです。
経営者層が期待する行動と、部下の行動が異なると、
「あいつは問題社員だ!」
とされるのですが、本人は自らの判断で自律的に動いているだけなのです。
部下の判断が、上司の判断と合っていれば自律型人材。
部下の判断が、経営者や上司の判断と違っていれば問題人材にされてしまいます。
問題人材を自律型人材に変えるOKR
問題人材が問題なのは、会社のビジョンや目的・目標、そこで果たしてほしい役割が分からず行動していることです。
であれば、会社のビジョンや目的・目標・そこで果たしてほしい役割が分かって行動できるようになれば良いのです。
OKRは、そういったことを全社的に伝えるツールです。
OKRによって、会社のビジョンや目的・目標、そこで果たしてほしい役割が共有されれば、問題人材は自律型人材に変わります。
また、感情は思考より強く、理屈抜きで人を動かすといわれています。
OKRでは、ワクワクしながら取り組めるOKR目標を全員の意見を取り入れ設定するので、プラス思考で仕事に臨むようになります。
OKRは、メンバーの感情や思考をプラスにするしくみでもあるので、ますます自律的に働くようになります。
OKRとは?基本概念を分かりやすく解説
OKRの特徴と効果
OKRとは、「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略称です。
OKRでは、「達成目標(Objectives 以下O)」とその達成度を測る「主要な成果(Key Results以下KR)」を設定します。
企業が目指すべき目標と社員一人ひとりの目標をリンクさせることにより、すべての社員が一丸となって同じ方向を向いて重要課題に取り組みます。
企業目標とリンクした個人目標を、高い頻度で設定・進捗管理・評価を行います。
達成目標Oは、現状の延長線上にある目標ではなく、企業やそこで働く人々がワクワクするような、野心的な目標を掲げます。
具体的で、かつ、定性的な目標設定が推奨されています。
主要な成果KRは、Oに対する評価指標です。
難しいが達成が不可能でないと感じる定量的な目標を3~5つ設定します。
OKRは主に
・野心的な目標を設定するため、達成すれば大きな成果が得られる。
・全体で共有された目標を達成するために、組織に一体感が生まれる。
・失敗が許される環境が生まれ、メンバーが成長する。
・新たなアイデアが生まれやすくなる
といった効果があります。
OKRとKPIの違い|なぜOKRが自律型人材を増やすのか
KPIとは「重要業績評価指標(Key Performance Indicator)」の略称で、目標達成やビジネス戦略の実現に向けた業務プロセスが適切に実施されているかを測る定量的な指標のことです。
目標の設定はトップダウンで、達成度が100%の必達目標が課されます。
トップダウンのため、メンバーのやりたい、やりたくないは関係ありません。
達成の仕方がある程度わかっており、行動量のみが達成の成否に影響する事業や目標は、KPIが適しています。
しかし、創造的で高い目標をKPIで管理すると、エンゲージメントが低下し、不正が起こりやすくなります。
近年、日本企業で不正案件が増えているのには、そういった背景があります。
OKRは、企業が目指すべきビジョンや目標と社員一人ひとりの目標がリンクしているため、そこで果たす役割が企業の目標達成に直結します。
企業の目標達成のために、達成度が60%程度で良いとする挑戦的な目標を自ら設定し、自らの責任で目標達成に挑みます。
100%達成の難しい目標に挑むため、失敗は許容され、大胆に挑戦することができます。
OKRは、組織全体で目標を共有し、達成度を測ることで、個人やチームに目標達成のための自律的な行動を促し、自律型人材の育成を促進します。
中小企業でもOKRを導入する企業が増えている理由
中小企業が限られたリソースの中で成果を上げるためには、自律型人材、つまりは迅速な意思決定と行動をする人材を育成する必要があります。
OKRは、OKRで組織全体の方向性を統一し、従業員のモチベーション向上や迅速な意思決定・行動を促進します。
OKRの対話やフィードバックを通じて、一人ひとりの自律性が育まれます。
変化の速い時代の中で、時代の変化に素早く対応し、自律型人材を育成するために、中小企業でもOKRの導入が増えています。
OKR導入が自律型人材を育成する理由
自律型人材育成のポイント
自律型人材を育てるためには、「自ら考え、行動する力」を引き出す仕組みが重要です。
OKRは、企業の目標を全員で共有し、目標設定の段階で社員の意見を取り入れ、目標達成に向けた進捗を定期的に共有し、その過程で社員が自ら考え、行動し、定期的に振り返ることで自律性を養います。
OKRは、メンバーの自律性を高め、自律型人材の育成に効果的なフレームワークです。
次からは、OKRが自律型人材を育成する具体的な理由について説明します。
明確なビジョンと目標の透明性が自律的行動を促す
OKRの大きな特徴の一つは、目標を組織全体に公開する透明性です。
これにより、各メンバーは自分の役割や貢献がどう全体に繋がっているかを理解しやすくなります。
目的が明確になれば、自らの判断で行動する意欲も高まり、結果として自律的な働きを促進します。
また、目標が可視化されることで、チーム間の連携や協力も生まれやすくなり、信頼関係の構築にもつながります
チャレンジングな目標が自律的な行動を引き出す
OKRでは、達成率100%ではなく60〜70%を目指す「チャレンジングな目標設定」を全員の意見を取り入れて設定することが推奨されます。
このアプローチは、メンバーにとって程よいプレッシャーとなり、創造的で主体的な行動を引き出します。
OKRでは、目標達成に向けて最善の方法を模索することが求められるため、試行錯誤を通じて思考力と行動力が鍛えられます。
結果として、自律性が自然と育まれていきます。
継続的な対話とフィードバックが自律性を養う
OKRのでは、OKR運用イベントで目標の進捗を定期的に共有し、互いにフィードバックを行います。
定期的な対話の場を設けることで、目標達成を相互に支援します。
自分の仕事の成果を客観的に評価し、改善を続けることで、自己成長を実感し、その経験が自律性を高めます。
また、この継続的なコミュニケーションは、自律性を養うだけでなく、安心して挑戦できる心理的安全性も生み出します。
自律型人材育成を目的としたOKR導入のステップ
変化の激しい現代のビジネス環境において、社員一人ひとりが自律的に動ける組織作りは、多くの企業にとって重要な課題です。
そんな中で注目されているのがOKRを活用した人材育成のアプローチです。
ここでは、OKRで自律型人材が育つ4つのステップを紹介します。
ステップ1:会社のOKRを明確に設定する
最初のステップは、企業全体の目的・目標と成果を明確にすることです。
会社のビジョンや戦略を踏まえ、「今、何を目指すのか」「何を達成すれば成功といえるのか」を具体的に定めます。
組織全体の方向性がはっきりすれば、チームや個々が自分の役割を理解できるため、自律的な行動が取れるようになります。
ステップ2:チームや個人レベルでOKRを設定
次に、全社OKRをもとに各チームや個人のOKRを設定し、チームで共有します。
このプロセスを通じて、社員は自らの業務が会社全体にどう貢献しているのかを理解できます。
トップダウンではなく、ボトムアップで目標設定を行うことで、自律的な取り組みを促すことができます。
また、お互いの役割が理解できるので、他のメンバーから見ても正しいと感じられる行動が取れるようになります。
ステップ3:定期的な進捗確認とフィードバック
OKRの効果を最大化するには、進捗を定期的に確認する場を設けることが重要です。
週次や月次での振り返りミーティングを通じて、目標への進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行います。
また、上司や同僚からのフィードバックを受けることで、自己成長のヒントが得られます。
振り返りを行うことで、経験学習サイクルが機能し、自律型人材の育成に繋がります。
ステップ4:評価と改善を繰り返す
期末にはOKRの達成状況を評価し、その結果を次の目標設定に活かします。
重要なのは「未達=失敗」ではなく、そこから何を学んだかを重視する姿勢です。
PDCAを繰り返すことで、社員自身が主体的に成長する力を養うことができます。
まとめ|OKR導入で自律型人材を育成し、中小企業の成長を加速しよう!
OKRは単なる目標管理の手法にとどまらず、自律型人材の育成に非常に効果的なフレームワークです。
目標の透明性、挑戦的な目標の設定、定期的な対話を通じて、社員の自律性と成長を引き出し、組織全体のパフォーマンス向上につなげます。
中小企業こそ、OKRを活用し、自律型人材が育つ組織文化を築いていくことが必要です。