1on1は意味ない?目標達成のための1on1が失敗する5つの理由とその解決策を解説
先生。
会社で1on1を導入したのですが、一部の上司は効果があがっているのですが、多くの上司がうまく実施できていません。
どうすれば、うまく実施できるでしょうか?
1on1は、部下の成長や企業目標の達成のために行われますが、そういった成果があがらないことがよくあるようです。
そもそも、社長は意味のある1on1が実施できていますか?
それが、実は経営者層は1on1をやっていなくて・・
私自身1on1の効果を感じておりません。
それはいけませんね。
まずは、社長自身が1on1に意味を感じられるようになりましょう。
そのほかには、どのような問題が起こっているのですか?
部下を育成できないだけでなく、上司と部下の関係性が悪化してしまっている場合もあって・・そのような状況では、部下も何のためにやっているか分からず、やる意味があるのか?と感じているようです。
1on1の目的を正しく捉え、正しく実施しないと1on1は意味のない取り組みとなってしまいます。
今からポイントを伝えるので、うまくできるように練習しましょう。
1on1とは
1on1とは、
上司と部下が信頼関係を築きながら成果をあげる全体のプロセス
を表す言葉です。
1on1というと、一般的に上司と部下の1対1の面談をイメージしますが、
面談以外の時間も1on1に含まれます。
1on1は、1on1ミーティングと
1on1ミーティング以外の場(以下「場外」)に分かれて考えます。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、
上司が部下の育成や目標達成を目的として、定期的・継続的に行う個人面談です。
部下の育成が目的であるため、上司がテーマや解決策を決めるのでなく、
基本的に部下がミーティングで話す内容や問題解決策を決定し、行動に移します。
業務として、1回30分~1時間、月1~2回程度定期的に対話に集中できる環境で実施します。
ミーティング以外の場(場外)
場外とは面談以外の場のことで、
上司が部下の成長や信頼関係を醸成するための日常的な関わりのことです。
挨拶や雑談をするようなタイミングで部下の話を聴くことで、
部下との信頼関係を深めるとともに、部下の目標達成や成長を支援します。
1on1では、上司と部下の間だけで情報共有がなされ、チームで決定事項が共有されないため、チームで決定事項や課題を共有する場を設けると効果的です。
効果のない1on1は意味がない
1on1の捉え方や、やり方に問題がある場合、1on1本来の効果を充分発揮できません。
そのような人は1on1を「無駄なこと」や「意味のないこと」だと感じるでしょう。
また、過去に1on1に取組んでみたものの、
・部下が成長しない
・上司と部下の関係が悪化する
・目標を達成できない
・成果のわりに実施の負担が重い
など成果があがらず、時間の無駄だったと感じている人もいるかもしれません。
Googleで「1on1」と検索しようとすると、「1on1 意味ない」や「1on1 話すこと」が上位にサジェストされるくらい、多くの人が1on1の実施に不安や不満を感じていることが伝わります。
意味のある1on1を行うために、次章以降で紹介する注意点と、解決策を理解して実施しましょう。
1on1の効果があがらない理由
1on1を実施していても、なかなか効果が現れずに終わるケースがあります。
そのようなケースが起こる理由には以下のものが考えられます。
◎1on1の目的を理解していない
◎適切な目標が立てられない
◎上司のスキル不足
◎人の才能を正しく扱えない
◎1on1で決まったことが組織で共有されない
ここでは、1on1が失敗る理由を5点挙げ、それぞれ解説します。
1on1の目的を理解していない
1on1は経験学習を通じて部下の成長を促進し、業務で成果を上げるために行います。
また、1on1を導入する企業にも、導入する目的があります。
1on1で失敗する理由の一つが、目的を共有していないことです。
目的を理解しないで行う1on1は、ただの雑談になったり、話すことがなかったりと「意味のない」ものになります。
適切な目標が立てられていない
1on1は、企業の目標を達成するために、
上司と部下でも目標を設定し、その目標の達成を目指して行います。
しかし、そこで立てた目標が企業の目標とつながっていないと、
たとえ全員が目標達成しても企業の目標は達成されません。
経営者は、企業目標が達成できないと1on1の効果を感じません。
頑張っているのに、企業目標が達成できないため誰も報われない・・・
そんな1on1では、従業員満足度が低下します。
また、個人に与えられている目標が低いと、
目標について話すことがなく、1on1が業務の進捗の連絡に使われます。
部下が課題感を感じるような、適切な目標を設定する必要があります。
上司のスキル不足
1on1は、部下の自発的な行動を引き出して実行してもらい、経験を通じて成長に導くために行います。
しかし、実際のミーティングでは、
◎上司が自分の体験からのアドバイスを押し付けてしまう
◎部下の話を聞くだけで、それ以上の行動を引き出せていない。
◎通常の業務の進捗確認や、雑談に終始する。
といったことが起こっており、自発的な行動につながっていません。
部下が自ら考えて行動しないと、成長や企業目標の達成はありません。
上司は、1on1に必要な育成スキルを身につける必要があります。
人の才能を正しく扱えていない
人にはそれぞれ才能があります。
才能に応じて、得意不得意やものごとの捉え方が異なります。
部下を成長させるためには、部下にあった教育方法を意識する必要があります。
また、目標達成のためには、何が得意で、何ができないかを把握しておく必要があります。
上司がチームの目標を適切にタスク分解し、部下の特性に合った業務をアサインし、部下に合った任せ方をできれば、チーム全体の目標を達成に近づきます。
人の才能を理解しないコミュニケーションや仕事の任せ方は、パワハラの原因になるなど、部下は不満を募らせます。
1on1で決まったことがチームに共有されない
1on1にマネジメントを依存していると、決定事項が組織に共有されず、意思決定プロセスが不明瞭になります。
自分の知らないところで業務の話が決まってしまうことに対して、不安や不満を感じるメンバーも少なからずいます。
情報の共有を1on1頼りにしていると、基本的にチームビルディングに失敗します。
1on1を実りあるものにするための解決策
経営者が自ら実践し、目的を発信する
1on1の目的を共有するためには、経営者が1on1の目的や重要性を発信することが重要なポイントです。
1on1は、上司と部下が1on1を実施する目的を共有することが大切です。
経営者自らが1on1に取組み、効果を感じれば、情報の発信頻度や部下に対する説得力が高まります。
1on1の目的を共有するためにも、経営者自ら1on1を実践しましょう。
OKRを導入する
企業目標と従業員全員の目標が繋がっている目標管理がOKRです。
1on1は、組織が目指す目標に向けて、目標達成や成長をしてもらうことを目指すため、そもそも目標が曖昧だと機能しません。
OKRは、企業が目指すべき目標と社員一人ひとりの目標をリンクさせることで、すべての社員が一丸となって同じ方向を向いて重要課題に取り組む目標管理制度です。
OKRでは、会社全体のカンパニーOKRから部門・部署、個人のOKRまでの「つながり」が明確です。
全社OKRが個人に共有されることで、会社目標と個人目標のベクトルがそろいます。
会社の高い目標に、一人ひとりが集中して取り組むことにより、企業全体の目標を達成します。
基本的に目標が高いので、部下は常に課題を感じており、1on1で「話すことがない」と感じることはなくなります。
ひとり一人は成長し、目標も達成しているのに、企業目標が達成できない場合は、OKRを導入しましょう。
1on1を意味あるものにするOKRについてはこちらもご覧ください。
1on1コーチング教育を行う
1on1では、部下が設定した目標の達成を上司が支援します。
上司の役割は、部下自身が自ら考え、課題を解決するために適切に支援することです。
基本はコーチングで支援しますが、部下の成長や成果のためにはコーチングスキルだけでなく、
・知見を伝えるティーチング
・部下の脳の特性に応じた個別対応
といったノウハウも必要になります。
これらを総合的に身につけることによって、上司の育成能力が高まります。
上司の育成能力に応じて、必要な研修を行いましょう。
人の才能を活かす方法を学ぶ
上司がコーチングにより部下を育成する場合、上司は部下との関わり方において双方向・継続性・個別対応というコーチングの3原則を意識する必要があります。
この3原則は、コーチングを行う際に必ず適用すべきベースとなる考え方で、どれか1つ欠けても意味がありません。
個別対応とは、相手の価値観や考え方などに合わせて対応方法を変えることで、コーチングでは1対1の面談を繰り返すことで、相手の価値観や考え方を知り、個別対応ができるとされていますが・・。
残念ながらすべての上司が相手の価値観や考え方を適切に捉えて対話ができるわけではありません。
そんなとき、頼りになるのが効き脳診断などといった人の特性診断です。
効き脳診断は、人の考え方や価値観に大きな影響力を与えます。
また、業務の得意・不得意にも大きな影響を与えています。
人によって物事や情報の捉え方が異なるのは、効き脳の違いによるところが大きく、
同じ研修を行っても、できる上司とできない上司が出るのもこのためです。
例えば、感覚・友好脳のタイプは、
部下の考え方や価値観に寄り添って対話をするのが得意ですが、
論理・理性タイプは合理的なため、
部下の考え方や価値観に寄り添って対話をするのは苦手です。
効き脳を行えば、1on1がより有効になるだけでなく、業務のアサインにも活用できます。
また、人と人の違いを受け入れられる組織は、心理的安全性も向上します。
1on1を意味のあるものにするためにも、特性診断を取り入れましょう。
「人の才能を活かす方法」についてより詳しくはこちらもご覧ください。
OKRイベントを実施する
1on1を意味のあるものとするためには、1on1ミーティング以外の場(場外)を有効に行うことも大切です。
しかし、才能の違いにより、すべての上司が場外で有効な関わり方ができるわけではありません。
人の才能に依存せず、場外での関わる場を設けてもらうためには、会社全体のマネジメントとして設計するのが有効です。
OKRでは、目標管理を確実に実行するためのチームOKR運用イベントが制度として整っています。
チームOKRイベントで、各自の進捗も確認しながら、1on1で決まったことも共有して、チームの問題解決力を高めていきます。
1on1を意味のあるものにするのであれば、OKRの導入とチームOKR運用イベント実施しましょう。
まとめ
部下の育成や企業の目標達成のために行われる1on1ですが、ポイントを押さえないと十分な成果が得られません。
効果のない1on1は、負荷だけが高まるため、意味のないものとして社員の不満が高まります。
1on1を意味あるものにするためにも、本記事を参考に実施してください。
中小企業の1on1導入について詳しくはこちらもご覧ください。