目標管理とは。手法やメリットを分かりやすく説明|中小企業に最適な目標管理okr
先生!
弊社でもそろそろ目標管理を導入しようと考えているのですが、適切な目標設定や、進捗管理の手法が分かりません・・。
私どものような中小企業は、何から手をつければ良いのでしょうか?
目標管理は、組織の目標を達成するために行います。
であるならば、どのような目標を達成したいのか?
それに応じて導入する目標管理制度を決める必要がありますね。
目標管理をする目的によって、導入すべき目標管理制度が異なるのですか!?
日本では、
人事評価と結びついて行われる伝統的な目標管理・MBOと
高い成長や変革を目指す目標管理・OKR
この2種類の目標管理が主流となっています。
目標管理とは
目標管理は、
組織目標を達成するための組織マネジメントの手法です。
目標管理をうまく機能させると、
業績向上や人材育成、従業員のモチベーション向上などの効果があります。
一方で、中小企業においては、適正な目標設定や、評価とフィードバックをできる人材が社内に不足しているという課題があります。
目標管理の実施手順
会社全体の目標に沿った目標を設定する
まず、組織全体の目標を明確にします。
会社のミッション・ビジョン・バリュ-や、中期経営計画と整合性が取れる目標を立てます。
次に、上司と部下で話し合って、組織の目標に沿った個人目標を立てます。
期間に応じた実現可能性を意識して、適切な目標を設定します。
実行計画を立てる
目標を達成するための、具体的なアクションプランを作成します。
目標を達成するためのリソースのギャップを明確にし、どのような行動やサポートが必要かを具体化します。
スプレッドシートや専用ツールなどで目標管理シートを作成して、いつでも目標を確認できるようにします。
実行する
計画に基づいて行動を開始します。
各自が目標管理シートを定期的に確認し、目標達成のための行動を実行します。
モニタリングとフィードバック
目標管理シートや定期的なミーティングなどで、目標の達成状況を監視します。
上司は、達成状況に基づいてフィードバックを行い、改善点を見つけて目標達成を目指します。
評価し、改善する
目標の期日になったら、上司と部下で達成状況の振り返りを行います。
目標達成に至るまでの成果と行動を共有し、360度評価などを行いフィードバックを行います。
評価やフィードバックに基づいて、次の期間の目標や実行計画を考えます。
目標管理はの効果は、振り返りを繰り返すことにより効果が高まります。
目標管理の手法
MBO
日本において「目標管理」といえば伝統的に
MBO(Management By Objectives and Self Control)
のことを言います。
MBOは、1954年にピーター・ドラッカーが、著書「現代の経営」の中で提唱した目標管理手法です。
MBOでは、上司と部下で目標を共有して管理を行います。
日本では、主に社員の評価のために導入が進んでおり、必達目標の達成を目指す制度となっています。
OKR
一方で近年、日本においてもOKRという目標管理制度の導入が進んでいます。
OKRは、MBOの限界を克服しようとしたインテルで生まれました。
OKRとは、
「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」
の略称です。
OKRでは、「達成目標(Objectives 以下O)」と、
その達成度を測る「主要な成果(Key Results以下KR)」
の2つの要素で目標を設定します。
OKRでは、企業が目指すべき目標と社員一人ひとりの目標をリンクさせることにより、すべての社員が一丸となって同じ重要課題に取り組みます。
OKRは、組織全体で高い目標を実現するための目標管理制度です。
MBO
MBOの特徴
MBOは、従業員が自ら目標を設定し、その達成に向けて自己管理を行う目標管理制度です。
1954年にピーター・F・ドラッカーにより提唱されました。
日本では、1990年代後半から広がり始め、人事評価制度とともに運用されることが多くなっています。
目標達成の期間は基本的には1年単位で行われ、目標は、上司と部下の間でのみ共有されます。
日本では、人事評価の一環としてMBOが運用されるため、
目標に対する上司のフィードバックは年2回以下が主流となっています。
目標はSMARTの原則に則って設定します。
SMARTは、以下の要素で成り立っています。
1.具体的であるか(Specific)
誰が見ても分かるよう、明確がつ具体的であること。
2.測定可能であるか(Measurable)
量で測れること。検証が可能であること。
検証可能であるからこそ、必要に応じて目標の修正が可能です。
3.達成可能か(Attainable)
一定期間内に達成可能で現実的であること。
4.目的に沿っているか(Relevant)
戦略実現の目的に合った目標であること。
自分が所属する部署の目標、会社の戦略・方針に合っているかを確認します。
5.具体的な期間か(Time-bound)
達成期間が限定され、期間が決まっていること。
MBOのメリット
MBOのメリットとして、一般的に次の3点が挙げられます。
目標の明確化
MBOでは、具体的な目標が設定されるため、従業員は自分の業務の優先順位を明確にし、効率的に業務を進めることができます。
動機づけとエンゲージメントの向上
目標が明確であると、自分の役割や貢献が明確になり、達成感を感じやすくなります。
これにより、モチベーションが向上し、会社へのエンゲージメントも高まります。
客観的な評価制度の構築
具体的な目標に基づいて社員の成果を評価することで、公平で客観的な測定が可能になります。
目標が達成できなかった場合でも、達成率と達成内容で従業員の取組を評価することができます。
上司と共有した個人目標に基づき評価されるため、従業員の満足度が高まります。
MBOの課題
個人の才能に依存した目標管理
MBOは、目標を自己管理するしくみです。
そのため、個人の才能の違いにより
・会社目標に対して適切な目標が設定できない。
・細かく進捗管理ができない。
・目標を達成するためのリソースがどこにあるか分からない。
などといった課題が生じます。
また、目標が人事評価に紐づけられるため、簡単に達成可能な目標を設定する傾向が高くなり、従業員の成長につながらないことがあります。
柔軟性の欠如
MBOは通常、年度ごとに目標を設定し評価しますが、現代のように急速に変化するビジネス環境においては、年度単位の目標では、変化に適応できない場合があります。
また、フィードバック面談の回数が少ないため、目標管理がうまくいっていない場合、挽回のタイミングが遅きに失するときがあります。
評価の公平性と信頼性
目標達成度に基づく評価が主観的になりがちで、公平性や信頼性に疑問が生じることがあります。
上司の評価基準や評価方法が明確でない場合、部下のモチベーション低下や不満の原因となることがあります。
OKR
OKRの特徴
OKRとは、「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略称です。
OKRでは、「達成目標(Objectives 以下O)」と
その達成度を測る「主要な成果(Key Results以下KR)」を設定します。
OKRは、個人の目標が会社全体で共有される目標管理制度です。
会社全体の目標に対して、誰がどんな目標に責任を負っているかが分かるため、他者や他部門の協力が得やすいという特徴があります。
OKRでは基本的に60%~70%の達成でよしとするチャレンジ目標を立てることが推奨されます。
このような目標を「ムーンショット目標」と言います。
ムーンショット目標もSMARTの原則に則って設定しますが、AはAmbitiousに変更して設定することが推奨されます。
1.具体的であるか(Specific)
明確で、「5W1H」がクリアになっていること。
2.測定可能であるか(Measurable)
量で測れること。検証が可能であること。
検証可能であるからこそ、必要に応じて目標の修正が可能です。
3.野心的か(Ambitious)
60~70%達成で十分な、野心的な目標であること。
4.目的に沿っているか(Relevant)
戦略実現の目的に合った目標であること。
自分が所属する部署の目標、会社の戦略・方針に合っているかを確認します。
5.具体的な期間か(Time-bound)
達成期間が限定され、期間が決まっていること。
OKRのメリット
目標の共有と果たすべき役割の明確化
これからの1年間(または3カ月)で最も重要なことは何か?
会社のビジョン実現のために最も重要なことは、会社の目標達成のために日々の業務が行われることです。
OKRは、会社全体の限られた重要目標に対して、
チームやひとり一人の責任や目標が明確で、その目標は全体で共有されるため、個人のやることが明確化され、目標に集中することができます。
目標の共有により、従業員の判断基準も明確化されるため、
従業員が会社の目標に沿って、自立的に行動できるようになります。
コミュニケーションの活性化
OKRは透明性の高い目標管理制度です。
職場では、上司が何をしているか。
自分の仕事がどのように上司の目標達成につながっているか。
ということを自然と意識するため、
目標達成のためのコミュニケーションが活性化します。
OKRでは、会社の目標を達成するために、どこの部門の誰が、どのような目標に取り組んでいるかが明らかになります。
ムーンショット目標を達成するために、会社のあちこちで、同じような仕事をする人が増えることを防ぎます。
目標達成のために部門間が協力することによって組織の目標達成能力が高まります。
大きな成果をあげることができる。
OKRでは、基本的に高い目標(ムーンショット目標)に挑むことが推奨されています。
OKRで継続的にムーンショット目標に挑むため、
社員が経験から学んで成長し、一人ひとりの目標を達成する能力が高まります。
OKRは、限られた目標に集中し、他者との協力を得ながら、毎週目標の進捗をチームで共有するしくみです。
しくみの中で管理職のマネジメント能力が向上し、組織として大きな成果をあげることができます。
OKRの課題
組織文化の変革が必要な場合がある
OKRは、高い目標に挑む目標管理制度だが、高すぎる目標が「必達目標」となると、
会計偽装や性能試験の不正というような、近年日本の大企業で頻発する組織問題を引き起こします。
もともと実現が難しい目標に挑んでいるため、失敗や遅れを許し、サポートする組織文化の醸成が必要です。
人事評価と結びつけることが難しい
OKRを人事評価に結びつけると、従業員は達成可能な低い目標を設定するようになります。
そうなった場合、高い目標に挑むOKRの効果が発揮されません。
社員の反発を招く場合がある。
中小企業が新たにOKRを導入する場合、管理職を中心に負荷が一気に高まるため、導入に反発し、目標管理を行わない可能性があります。
経営TOPが必要性を伝えて、自ら率先垂範してOKRに取り組む必要があります。
成長する中小企業の目標管理にOKR導入がおすすめする理由
目標管理は、組織目標を達成するための組織マネジメントの手法です。
日本で主に導入されている目標管理は、
人事評価に紐づいて運用されることが多いMBOと、
高い成長を実現するための目標管理OKRの2つがあります。
中小企業が成長するにつれて、
・ビジョンが浸透しないことによる意思決定速度の低下
・効率的なタスク配分ができないことによる生産性の低下
・組織間のコミュニケーションの課題
・管理職をはじめとする人材開発の課題
といった経営上の課題が次々に生じます。
中小企業の場合、OKRの階層は多くて3階層で済むため、導入スピードが速いメリットがあります。
また、組織全体の目標にたいする適切な目標設定も、大企業ほど難しくありません。
中小企業がOKRを導入すれば、管理職のマネジメント能力を上げながらながら、成長を続けることが可能です。
タグ: 中小企業 目標管理